
将来の相続税負担の軽減を望む方がよく狙うのは、生前贈与による節税です。
不動産を生前贈与することは、相続税の軽減だけでなく、資産管理の観点からも有効な手段です。
そこで今回は、不動産の生前贈与を通じて節税を実現する方法と、その手続きについてご紹介します。
□不動産を生前贈与する際の手続き
不動産の生前贈与は、単なる物の授受、というわけではありません。
以下のステップに従って、適切に手続きを進めましょう。
1:贈与契約書の作成
贈与契約書は、贈与される不動産の正確な情報を記載し、法的な効力を持たせるために必要です。
法律上は口約束でも成立するものの、名義変更の登記や税金の申告に必要な書類として、この契約書が重要な役割を果たします。
契約書には、法務局から取得した「登記事項証明書」をもとに、正確な情報を記入してください。
2:名義変更の登記
契約書に署名押印後、法務局へ名義変更の登記を申請します。
必要な書類は多岐にわたりますが、司法書士などの専門家に依頼することで、スムーズに手続きを進めることが可能です。
3:贈与税の申告
110万円を超える贈与を受けた場合は、翌年の確定申告で贈与税の申告を行い、必要に応じて税金を納めなければなりません。
期限を過ぎると追加の税金が課されるため、期限内に手続きを完了させましょう。
□生前贈与は節税になる?
生前贈与は、適切に行われた場合、相続税の節税につながる可能性があります。
以下の点に注意して、節税効果を最大限に引き出しましょう。
*基礎控除
相続財産が基礎控除内であれば、もともと相続税は非課税です。
しかし、予想される相続税が基礎控除額を超える場合もあるでしょう。
そういった場合は生前贈与を通じて相続財産を減らすことで節税を図ることが可能です。
*相続時精算課税制度の利用
相続時精算課税制度を利用すると、一定の条件下で贈与税が非課税となります。
ただし、贈与された財産は将来的に相続税の対象です。
そのため、全体的な節税効果を検討しましょう。
*不動産の種類と評価額の変動
不動産の種類によっては、贈与時点での評価額が相続時に値上がりしている場合、節税効果が見込めます。
特に賃貸収入が見込める不動産を贈与すると、収益が贈与された人の収入になり、相続財産を増やさない効果があります。

□まとめ
不動産を生前贈与することは、適切に行われた場合、相続税の軽減や資産管理の効率化につながります。
しかし、その手続きは複雑で、少なくない法的な知識が求められます。
将来の財産管理を見据えた一歩を踏み出しましょう。