共有名義の不動産で片方が死亡した場合、相続の対象やプロセスは非常に複雑です。
さらに、共有持分のみの相続放棄はできないことも特徴です。
この記事では、共有名義の不動産がある場合に片方の所有者が亡くなった時の相続のプロセスについて解説します。
共有名義の不動産で片方が死亡したら誰が相続する?共有持分だけの相続放棄はできない
不動産の共有名義では、所有者の一方が亡くなると、その持分は生きている共有者に自動的に移るわけではありません。
法的には、故人の持分は相続の対象となり、故人の法定相続人が相続します。
1:相続人がいるか
共有不動産の場合、故人の法定相続人を特定することが非常に重要です。
これには、配偶者、子ども、親、兄弟姉妹などが含まれるのが一般的です。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議が必要になります。
2:遺産分割協議を行う
共有名義の不動産に関する遺産分割協議を通じて、どの相続人が故人の持分をどのように相続するかが決定されます。
この協議は、全相続人の合意が必要です。
3:相続放棄は可能か
特定の持分だけを放棄することは原則として認められていません。
相続放棄を行う場合は、故人からの全遺産を放棄する必要があります。

□共有名義の片方が死亡した場合の相続の流れ
共有名義の不動産において、一方の共有者が亡くなった場合、その相続は通常の不動産相続とは異なる特殊なプロセスを要します。
以下では、その具体的な手順と考慮すべきポイントを紹介します。
1:遺言書の有無の確認
まず最初に行うべきは、故人が遺言書を残しているかどうかの確認です。
遺言書が存在する場合、その内容が法的な要件を満たしているかを検証し、遺言に基づいて遺産の分配を行います。
遺言書は自筆証書遺言や公正証書遺言の形式が一般的であり、場合によっては家庭裁判所での検認が必要になることもあります。
2:相続人の特定
故人の全戸籍謄本を集め、正確な相続人を特定します。
これには、故人の出生から死亡に至るまでの戸籍の変遷を追い、隠れた相続人がいないかを確認します。
相続人が後から現れると、遺産分割協議が無効になる可能性があるため、このステップは非常に重要です。
3:遺産の調査
故人が残した全財産を把握するために、財産の調査を行います。
これには不動産、銀行口座、株式、その他の資産が含まれます。
また、故人が負っていた負債や債務も調査し、清算します。
この情報は遺産分割協議を進める上で必要となるため、正確な財産評価が求められます。
4:遺産分割協議
すべての相続人が集まり、遺産分割協議を行います。
この協議を通じて、誰がどの財産を受け取るかを決定します。
協議が円滑に進まない場合は、調停や裁判を通じて遺産分割を行うこともあります。
協議書はすべての相続人の合意の下で正式に作成され、それに基づいて相続登記が行われます。
5:相続登記
遺産分割協議が完了した後、不動産の相続登記を行います。
これは法務局で行われ、遺産分割協議書をもとに故人の名義から相続人の名義へと不動産の登記名義変更を行います。
2024年4月より相続登記が義務化されているため、このプロセスを怠ると法的なペナルティが課せられる可能性があります。

□まとめ
共有名義の不動産の相続は、適切な知識と理解が必要です。
この記事では、共有名義の一方が死亡した場合の不動産における相続プロセスの基本的な流れと、必要な手続きについて解説しました。
相続は複雑なプロセスですが、正しい情報と適切な手続きによって、スムーズに進められますよ。