日本の空き家数は増加の一途を辿り、社会問題となっています。
所有する空き家について、どう活用すれば良いのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この状況を変えるためにも、空き家の有効活用は重要な課題です。
今回は、空き家の活用方法を多角的に検討し、具体的な方法や注意点、税制面での優遇措置などを解説します。
空き家活用を検討されている方の参考になれば幸いです。
空き家活用で資産価値を高める方法
賃貸による活用
空き家の活用方法として、賃貸は最も手軽に始められる方法の一つです。
居住用、店舗用、シェアハウス、民泊など、物件の特性や立地条件に合わせて様々な形態が考えられます。
・居住用賃貸:築年数や状態にもよりますが、そのまま賃貸に出せるケースもあります。
特に需要の高いエリアであれば、大きな改修工事は不要かもしれません。
ただし、借家契約の種類(定期借家契約か普通借家契約か)を検討する必要があります。
定期借家契約は、契約期間満了で必ず契約が終了するため、将来の売却や用途変更を検討している場合に適しています。
普通借家契約は、賃借人の希望があれば原則更新されるため、安定した収入が見込めます。
・店舗用賃貸:飲食店や事務所など、様々な業種に対応できます。
家賃滞納リスクが低く、什器備品があるため、滞納時の対応もしやすいメリットがあります。
ただし、リフォームが必要な場合や、管理規約で用途が制限されているケースには注意が必要です。
また、消費税の納税義務が発生する可能性もあります。
・シェアハウス:複数の部屋と共有スペースを持つ物件であれば、シェアハウスとして活用できます。
複数世帯からの収入が見込める一方、最低限のリフォームが必要な場合もあります。
入居者募集には、工夫が必要です。
・民泊:観光客向けの宿泊施設として活用できます。
高い収益が見込めますが、住宅宿泊事業法に基づく届け出が必要で、年間営業日数に制限があります。
周辺住民とのトラブルにも注意が必要です。
売却による活用
空き家の売却は、管理の手間や固定資産税の負担を解消できる方法です。
・建物ごと売却:現状のまま売却する方法です。
解体費用は不要ですが、買い手がつきにくい可能性もあります。
・更地にして売却:解体費用がかかりますが、買い手を見つけやすいメリットがあります。
相続空き家の3,000万円特別控除などの税制優遇措置が利用できる場合があります。
売却する際は、地域の不動産事情に詳しい不動産会社に相談することが重要です。
不動産会社への相談を推奨します。
その他の活用法(シェアハウス、民泊、コワーキングスペースなど)
既に賃貸で触れたシェアハウス、民泊以外にも、以下のような活用法があります。
・コワーキングスペース:フリーランスやテレワーカー向けのワークスペースとして活用できます。
初期投資が必要ですが、需要が高まっているため、安定した収入が見込めます。
・トランクルーム:収納スペースとして貸し出す方法です。
初期投資が少なく、比較的容易に始められます。
空き家活用における注意点
空き家活用においては、以下の点に注意が必要です。
・初期費用:リフォーム費用、解体費用、設備投資費用など、活用方法によって様々な費用がかかります。
・管理費用:賃貸経営の場合は、管理会社への委託費用、修繕費用などが発生します。
・リスク:空室リスク、家賃滞納リスク、近隣トラブルなど、様々なリスクを考慮する必要があります。
・市場調査:空き家の立地や周辺環境、ニーズを十分に調査し、適切な活用方法を選択することが重要です。
税制面での優遇措置
空き家活用には、以下の税制優遇措置が利用できる場合があります。
・固定資産税の軽減:住宅用地として利用する場合、固定資産税が軽減されます。
・相続税の軽減:小規模宅地等の特例により、相続税評価額が減額される場合があります。
・譲渡所得税の控除:空き家を売却する場合、譲渡所得税が控除される場合があります。

空き家活用成功のためのステップ
現状把握と課題の明確化
まず、空き家の現状を正確に把握することが重要です。
・建物の構造、状態:築年数、耐震性、設備状況などを確認します。
・土地の状況:面積、地目、権利関係などを確認します。
・周辺環境:立地条件、近隣住民との関係、交通アクセスなどを確認します。
これらの情報を基に、空き家活用の課題を明確にします。
活用方法の選定
空き家の現状と課題を踏まえ、最適な活用方法を選択します。
・賃貸、売却、その他活用法:それぞれのメリット・デメリットを比較検討します。
・市場調査:周辺地域のニーズ、競合状況などを調査します。
・専門家への相談:不動産会社、建築会社、税理士など、専門家の意見を参考にします。
資金計画とリスク管理
活用方法が決まったら、資金計画を立て、リスクを管理します。
・初期費用:リフォーム費用、解体費用、設備投資費用などを算出します。
・ランニングコスト:管理費用、修繕費用、固定資産税などを算出します。
・収益性:家賃収入、売却益などを予測します。
・リスクヘッジ:空室リスク、家賃滞納リスク、災害リスクなど、様々なリスクへの対策を検討します。
専門家への相談と手続き
専門家のアドバイスを受けながら、必要な手続きを進めます。
・不動産会社:物件の査定、売買契約、賃貸契約など。
・建築会社:リフォーム、解体、新築工事など。
・税理士:税金に関する相談、手続きなど。
・司法書士:登記手続きなど。
継続的な管理とメンテナンス
空き家活用は、一度で終わるものではありません。
継続的な管理とメンテナンスが必要です。
・定期的な点検:建物の状態、設備の状況などを定期的に点検します。
・修繕:必要に応じて修繕を行います。
・清掃:清潔な状態を保ちます。
・近隣住民とのコミュニケーション:良好な関係を維持します。

まとめ
今回は、空き家の活用方法として賃貸、売却、その他の活用法を紹介しました。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、物件の状況や立地条件、資金状況などを考慮して最適な方法を選択する必要があります。
成功のためには、現状把握、活用方法の選定、資金計画、リスク管理、専門家への相談、継続的な管理・メンテナンスが不可欠です。
税制面での優遇措置も活用することで、より効果的な空き家活用を実現できる可能性があります。
計画を立てる際は、専門家への相談を積極的に行い、慎重に進めることが重要です。
空き家の活用は、資産価値の向上だけでなく、地域社会への貢献にもつながる可能性を秘めています。