長年放置している空き家、売却を検討している方も多いのではないでしょうか。
売却益を得られた場合、あるいは売却損が生じた場合、確定申告が必要となるケースがあります。
今回は、空き家の売却と確定申告に関する手続きについて解説します。
空き家の売却で確定申告が必要なケース
売却益が出た場合の確定申告
空き家の売却によって利益(売却益)が発生した場合、その利益は譲渡所得として課税対象となります。
譲渡所得とは、不動産や株式などの資産を売却した際に得られる利益のことです。
具体的には、売却価格から取得費や譲渡費用などを差し引いた金額が課税対象となり、所得税や住民税の対象となります。
さらに、所得税は所得金額に応じて税率が決定され、住民税は所得税の金額を基に計算されるのです。
そのため、確定申告を行うことで、税務署に所得を申告し、適切な税金を納付することになります。
売却損が出た場合の確定申告
逆に、売却価格が取得費や譲渡費用を下回り、売却損が生じた場合でも、確定申告が必要となる場合があります。
売却損は、他の所得と通算して、所得税の計算に反映させることができます。
例えば、他の所得が大きく、売却損を差し引いても所得税の納税義務がある場合、売却損を申告することで納税額を軽減できます。
また、他の所得が少なく、売却損によって所得税がゼロになったとしても、損益通算を行うために確定申告が必要となります。
さらに、売却損を翌年以降に繰り越して、将来の譲渡所得から控除することも可能です。
3000万円特別控除適用で確定申告が不要となるケース
所有期間が、譲渡日より前にさかのぼって、1年以上保有している場合、3000万円の特別控除が適用される可能性があります。
この特別控除とは、譲渡所得から3000万円を差し引いた金額を課税所得とする制度です。
もし、譲渡所得が3000万円以下であれば、税金はかからず、確定申告は不要となります。
しかし、この控除は、居住用不動産に限定される場合や、その他の条件を満たす場合に適用されるため、注意が必要です。
適用条件の詳細については、国税庁のウェブサイトなどを参照すると良いでしょう。
相続した空き家の売却と確定申告
相続によって取得した空き家を売却する場合も、確定申告が必要となる場合があります。
この場合、取得費の計算方法が、生前に取得した場合と異なります。
相続時の時価を基準に取得費を計算し、売却価格との差額が譲渡所得となります。
また、相続税の申告と合わせて、譲渡所得の確定申告を行う必要が生じるケースもあります。
そのため、相続税の申告と譲渡所得の確定申告は、それぞれ手続きが異なるため、注意が必要です。
相続時の状況をよく確認し、必要に応じて専門家へ相談することが重要です。

空き家売却の確定申告の手順
譲渡所得の計算方法
譲渡所得の計算は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引くことで算出します。
取得費には、購入時の価格、取得にかかった費用、修繕費用などが含まれます。
一方で、譲渡費用には、仲介手数料、登記費用などが含まれます。
これらの費用は、領収書や契約書などの証拠書類で確認する必要があります。
特に修繕費用については、経年劣化による修繕と、売却を目的とした修繕を区別する必要があるため、注意が必要です。
売却を目的とした修繕は、譲渡費用として計上できます。
必要書類の準備
確定申告に必要な書類は、不動産売買契約書、登記事項証明書、固定資産税評価証明書、領収書などです。
これらの書類は、すべて原本またはコピーを提出する必要があります。
特に、修繕費用や固定資産税などの経費を証明する書類は、正確に準備する必要があるため、事前に税理士などに相談しておくことが望ましいでしょう。
また、必要書類は年度によって変わる可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。
確定申告書の書き方
確定申告書は、税務署のホームページからダウンロードできます。
必要事項を正確に記入し、準備した書類を添付して提出します。
もし、記入に不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
複雑な計算や書類の提出方法を間違えると、税務調査の対象となる可能性があります。
さらに、申告書の書き方についても、毎年変更がある可能性があるので、注意が必要です。
申告期限と提出方法
確定申告の期限は、原則として翌年の3月15日です。
提出方法は、税務署への郵送、窓口への持参、e-Taxによる電子申告などがあります。
e-Taxを利用することで、申告の手続きが簡素化され、還付金も早く受け取ることができます。
また、e-Taxの場合は、24時間いつでも申告手続きを行うことが可能です。

まとめ
空き家の売却に伴う確定申告は、売却益の有無や控除の適用など、様々な要因によって手続きが複雑になります。
正確な計算と必要書類の準備、そして申告期限の遵守が重要です。
不明な点があれば、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
適切な手続きを行うことで、不要なトラブルを避けることができます。