放置された空き家が、地域社会に思わぬ影響を及ぼすことがあります。
建物の老朽化が進むと、周辺住民の安全が脅かされたり、景観が悪化したりするだけでなく、衛生面での問題が発生する可能性も否定できません。
こうした事態を防ぐため、国は空き家対策特別措置法に基づき、管理不備の著しい物件を「特定空家」として指定し、所有者に対して適切な管理を促しています。
ご自身の所有する空き家が、どのような状態になると問題視され、どのようにすればその状態を解消できるのか、具体的な基準と対策について理解を深めることは、地域との共生を図る上で非常に重要です。
空き家が特定空家と判断される基準
特定空家と判断される具体的な条件
空き家が「特定空家」として行政から判断されるのは、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空き家対策法)第2条第2項に定められた状態に該当する場合です。
具体的には、その空き家を「そのまま放置すれば倒壊等のおそれのある状態」または「著しく衛生上有有害な状態」、「著しく景観を損なうおそれのある状態」、「その他周辺の生活環境の保全を図る上で放置することができない状態」のいずれかに該当すると、市町村長によって判断されます。
これらの状態は、単に空き家であるという事実だけでなく、その管理状況や周辺への影響度を総合的に評価した結果として下されます。
例えば、建物の主要構造部(壁、柱、床、屋根など)に著しい損傷が見られ、地震や強風で倒壊する危険性が高い場合や、大量のゴミが放置され悪臭を放ち、害虫や害獣が発生しているようなケースが該当します。
保安・衛生・景観・生活環境ごとのリスク
特定空家と判断されるリスクは、保安、衛生、景観、生活環境の4つの観点から具体的に評価されます。
保安上のリスクとしては、屋根瓦の剥がれ落ち、外壁のひび割れや崩落、基礎部分の劣化など、建物自体の構造的な危険性が挙げられ、これらは通行人や近隣住民への直接的な危害につながる可能性があります。
また、老朽化した建物は火災のリスクも高まります。
衛生上のリスクとしては、不衛生な状態が放置されることによる悪臭の発生、害虫(ゴキブリ、ハエなど)や害獣(ネズミ、ハクビシンなど)の繁殖が挙げられ、これらは感染症の媒介となる恐れもあります。
景観上のリスクは、建物の破損や著しい汚れ、敷地内の雑草の繁茂、不法投棄されたゴミの散乱などにより、地域の美観を著しく損なう状態を指します。
生活環境へのリスクは、これらの複合的な要因によって引き起こされ、地域住民に心理的な不安感を与えたり、防犯上の懸念を生じさせたり、ひいては地域全体の資産価値の低下にもつながりかねません。

特定空家の指定解除に向けた方法と手続きは?
特定空家状態を改善するための具体的なアクション
特定空家と判断された状態を改善し、法的な指定解除を目指すためには、まず、その原因となっている具体的な問題を解消するためのアクションを実行する必要があります。
保安上のリスクに対しては、屋根や外壁の修理、基礎の補強、窓ガラスの交換や飛散防止フィルムの貼付など、建物の構造的な安全性を確保するための修繕工事が不可欠です。
衛生上の問題に対しては、敷地内や建物内部に放置されたゴミや汚物の撤去、側溝や排水溝の清掃、悪臭対策の実施、害虫・害獣の駆除と侵入防止策の設置が求められます。
景観の悪化や生活環境への影響に対しては、庭木の剪定や伐採、敷地の除草、不法投棄されたゴミの撤去、必要に応じてフェンスや塀の修繕・設置などが有効な手段となります。
これらの改善措置は、単に一時的な対処にとどまらず、継続的な管理を見据えたものであることが重要です。
建物の状態によっては、大規模なリフォームや、最終的には建物の解体、あるいは賃貸や売却といった活用方法を検討することも、状態改善の一つの道となります。
解除申請に必要な手続きの流れ
特定空家としての指定解除を求める場合、法的に定められた「解除申請」という形式的な手続きは存在しません。
特定空家であるかどうかの判断は、市町村長が現地調査等に基づき行うものであり、指定解除も同様に、改善された状態が確認された時点で事実上行われます。
そのため、まず行うべきことは、前述したような具体的な改善アクションを完了させることです。
例えば、建物の修繕が完了し、敷地内の清掃や除草も適切に行われ、周辺環境への悪影響が解消されたと判断できる状態になった時点で、管轄する市町村の担当部署(空き家対策担当課、建築指導課、都市整備課など)に連絡し、改善状況の現地確認を依頼します。
担当者が現地を訪れ、法的な基準に照らして問題が解消されたと判断されれば、特定空家としての措置(固定資産税の住宅用地特例の解除など)は解除されます。
このプロセスには一定の時間がかかる場合があるため、改善の目処が立った段階で早めに自治体と相談することが望ましいでしょう。

まとめ
特定空家とは、空き家が放置されることで、倒壊や衛生上の有害、景観の悪化、生活環境の阻害といった具体的なリスクが生じている状態を指します。
これらのリスクは、建物の損傷、ゴミの放置、雑草の繁茂など、様々な要因によって引き起こされます。
指定を解除するためには、これらの問題を解消するための修繕、清掃、伐採、ゴミ撤去といった具体的なアクションを所有者が実行することが不可欠です。
改善が確認されれば、自治体への連絡と現地確認を経て、特定空家としての指定は解除されます。
空き家の適切な管理と対策は、地域社会との調和を図り、持続可能なまちづくりに貢献するための重要な責務と言えるでしょう。