リフォーム費用回収できない時の法的手段と回収の進め方

  • お役立ちコラム不動産管理
リフォーム費用回収できない時の法的手段と回収の進め方

リフォーム工事を請け負ったものの、施主からの代金支払いが滞ってしまった。
このような状況に直面した際、どのように対応すれば未回収の費用を確実に回収できるのか、多くの事業者が悩みを抱えています。
単なる督促だけでは解決が難しい場合、法的な手続きを検討する必要が出てきます。
今回は、代金回収の可能性を高めるための具体的な法的手段から、手続きを進める上での重要な注意点、そして費用対効果の検討方法までを網羅的に解説します。

リフォーム費用が回収できない場合の法的手段

内容証明郵便による督促で回収を試みる

リフォーム費用が未払いの場合、まず試すべき効果的な手段の一つとして、内容証明郵便を用いた督促が挙げられます。
これは、単なる請求書や督促状とは異なり、郵便局が差出人および受取人、そして文書の内容と発送日を証明してくれるため、法的な手続きを進める上での証拠となり得ます。
内容証明郵便には、未払いとなっている具体的な金額、支払期日、そして期日までに支払いがなされない場合には法的措置(訴訟提起や強制執行など)を講じる可能性がある旨を明記することが一般的です。
このような正式な文書を送付することで、相手方に対して心理的なプレッシャーを与え、支払いを促す効果が期待できます。
また、相手方が支払いに応じない場合でも、後々の裁判において、債権者が支払いを求めていた事実を客観的に示す強力な証拠となります。

少額訴訟や通常訴訟で裁判を起こす

内容証明郵便による督促を経てもなお支払いがなされない場合、次に検討すべきは裁判所を通じた法的手続きです。
請求金額が60万円以下であれば、原則として1回の期日で審理が終結する「少額訴訟」を利用することが可能です。
少額訴訟は、手続きが比較的簡便で、専門知識がなくても申立てやすいというメリットがありますが、相手方が異議を唱えた場合には通常の訴訟手続きに移行します。
一方、請求金額が60万円を超える場合や、複雑な法律関係が絡む場合には、「通常訴訟」を提起することになります。
通常訴訟では、訴状の提出から始まり、証拠調べや当事者尋問などを経て判決が下されるため、時間と費用がかかる傾向にありますが、より詳細な審理が可能です。
いずれの訴訟手続きにおいても、契約内容、工事完了の証明、これまでの請求や督促の記録など、未払いの事実を裏付ける客観的な証拠を十分に準備することが、勝訴のためには不可欠となります。

差押え手続きで強制回収する

裁判で勝訴判決を得ても、相手方が任意で支払いに応じない場合、最終的な手段として「差押え」という強制執行手続きを行うことになります。
差押えとは、裁判所の命令に基づいて、相手方の財産を強制的に差し押さえ、それを換価(売却など)して得た代金から未払いとなっているリフォーム費用を回収する手続きです。
差押えの対象となる財産には、預貯金、給与、不動産、動産(車など)、さらには売掛金(相手方が第三者から受け取るべき債権)などが含まれます。
どの財産を差し押さえるのが最も効果的かは、相手方の状況によって異なります。
この手続きは専門的な知識や細かな手続きが要求されるため、弁護士などの専門家に依頼することが一般的であり、迅速かつ的確に進めることが回収の成功率を高める鍵となります。

リフォーム費用回収の進め方と注意点は?

回収手続きの時効期間を確認する

リフォーム費用の未払い代金について、回収を試みる際には「時効」の存在を必ず確認しなければなりません。
時効とは、一定期間権利を行使しない状態が続いた場合に、その権利が消滅してしまう制度です。
リフォーム代金のような請負代金債権は、民法改正(2020年4月1日施行)により、一般的な債権として扱われ、原則として債務者が支払いを免除されるべきことを知った時から5年間、または権利を行使することができる時から10年間いずれか早い方が経過することで時効にかかります。
時効期間の起算点は、工事が完了し、代金の支払いが可能になった時点(通常は工事完了日や検収日など)となります。
もし時効期間が経過してしまった場合、相手方が時効を援用(時効の完成を主張すること)すると、法的に支払いを請求する権利が失われてしまうため、回収は極めて困難になります。
そのため、回収手続きに着手する前に、必ず時効期間を確認し、時効が完成しないように注意深く進めることが肝要です。

回収手続きを進める上でのリスクと回避策を理解する

リフォーム費用の回収手続きは、必ずしも成功するとは限りません。
訴訟には、申立て手数料や印紙代、証拠収集にかかる費用、そして何よりも時間と労力がかかります。
また、相手方が支払能力を持たない場合、たとえ勝訴判決を得たとしても、実際に費用を回収できない「回収不能」のリスクが存在します。
さらに、相手方が不当な反論をしてくる可能性や、手続きが長期化することによる精神的な負担も考慮に入れる必要があります。
これらのリスクを回避・軽減するためには、まず、契約書、請求書、工事の進捗を示す写真や図面、施主とのやり取りの記録(メール、LINEなど)といった証拠を徹底的に収集・整理することが重要です。
また、感情的にならず、冷静に相手方と交渉する姿勢も大切です。
それでも解決が難しい場合は、早い段階で弁護士などの専門家に相談し、法的な見解や手続きの進め方についてアドバイスを受けることが、リスクを最小限に抑えるための有効な回避策となります。

弁護士費用と回収見込み額を比較検討する

費用対効果の観点から、弁護士に依頼するかどうかは慎重に判断すべき重要なポイントです。
弁護士に依頼する場合、一般的には着手金(事件を依頼する際に支払う費用)と成功報酬金(事件が成功した場合に、回収額に応じて支払う費用)が発生します。
その他、実費(郵送費、印紙代など)も別途必要となります。
これらの弁護士費用総額が、未払いのリフォーム代金総額に対してどの程度の割合になるのかを把握することが不可欠です。
回収できると見込まれる金額が、弁護士費用を差し引いても十分に利益があると判断できる場合にのみ、依頼を検討すべきでしょう。
多くの弁護士事務所では、初回無料相談を実施していますので、まずは相談を利用して、具体的な費用体系や回収の見通しについて説明を受け、納得した上で依頼を進めることが賢明な判断につながります。

まとめ

リフォーム費用の未回収問題に直面した場合、まずは内容証明郵便による督促から始め、状況に応じて少額訴訟や通常訴訟、さらには差押えといった法的手段を段階的に検討することが重要です。
手続きを進めるにあたっては、債権の時効期間を確認し、訴訟費用や時間といったリスクを十分に理解した上で、冷静に回避策を講じる必要があります。
特に、弁護士への依頼を検討する際には、その費用と回収見込み額を慎重に比較検討し、費用対効果を見極めることが肝要です。
適切な手順を踏むことで、未回収費用の回収可能性を高めることができます。

お役立ちコラムの最新記事