実家を相続する機会は、人生の節目となる出来事の一つです。
長年住み慣れた家であっても、そのまま住み続けるには、現代のライフスタイルに合わない点や、建物の老朽化が気になる場合もあるでしょう。
そこで、相続した実家をどのように活用するか、リフォームという選択肢が浮上することがあります。
しかし、リフォームには費用がかかるため、どれくらいが目安なのか、どのような点に注意すべきか、そして、それが将来的な節税に繋がるのかなど、知っておきたい情報は多岐にわたります。
今回は、相続した実家のリフォームについて、費用相場から注意点、節税効果までを分かりやすく解説します。
実家を相続した際のリフォーム費用はいくらくらいかかるか
戸建てとマンションで費用は異なる
一般的に、実家を相続してリフォームする場合、戸建て住宅とマンションでは費用の傾向が異なります。
戸建て住宅は、建物全体の構造に関わる工事や、外壁・屋根などの面積が広くなる傾向があるため、マンションのリフォームと比較すると、やや高額になるケースが見られます。
リフォーム内容で費用は大きく変動する
リフォームにかかる費用は、どのような内容を行うかによって大きく変動します。
例えば、キッチンや浴室、トイレといった水回りの設備を最新のものに交換するだけでも、数万円から数十万円、場合によっては百万円単位の費用がかかることがあります。
また、壁紙や床材の張り替えといった内装工事、断熱性能を高めるための改修、手すりの設置や段差解消といったバリアフリー化、さらには間取り変更を伴うような大規模な工事など、その範囲によって費用は大きく変わってきます。
リフォーム費用の目安を知る
参考となる調査によると、戸建て住宅におけるリフォーム費用の平均は約349万円、マンションでは約329万円となっています。
ただし、これはあくまで平均的な目安であり、建物の築年数、建材の状態、依頼する業者、そしてリフォームの規模や内容によっては、これらの金額を大きく上回ることも少なくありません。
特に、建物の老朽化が激しい場合や、間取りの大幅な変更、断熱改修などを含むフルリフォームを行う場合は、1,000万円を超えるケースも十分に考えられます。

相続した実家をリフォームする際の注意点や節税効果は何か
名義変更をしないと贈与税がかかる
相続した実家をリフォームする際に、最も注意すべき点の一つが「名義変更」です。
もし、親(被相続人)の名義のままご自身がリフォーム費用を負担して工事を行った場合、それは贈与とみなされる可能性があります。
年間110万円を超える贈与には贈与税がかかるため、高額なリフォーム費用を支払った際には、意図せず多額の税金が発生してしまうリスクがあります。
さらに、親の名義のままでは、住宅ローン控除などの税制上の優遇措置も適用対象外となってしまうことがあります。
そのため、実家を相続したら、速やかにご自身の名義に変更する手続き(相続登記)を行うことが非常に重要です。
補助金や非課税特例を活用する
リフォーム費用は高額になりがちですが、国や自治体が提供する補助金制度や、税制上の特例を活用することで、費用負担を軽減できる場合があります。
例えば、高齢者が安全に暮らすためのバリアフリー改修には介護保険制度が利用できることがあります。
また、省エネ性能を高めるリフォームには「こどもエコすまい支援事業」や「先進的窓リノベ事業」、高効率給湯器の導入には「給湯省エネ事業」などの補助金制度があります。
これらの制度は、条件を満たせば数万円から数百万円の補助が受けられる可能性があります。
さらに、増改築やリフォーム費用を親や祖父母から贈与してもらう際には、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」が利用できる場合があり、一定の要件を満たせば贈与税が非課税となることもあります。
相続税対策になるリフォームがある
実家を相続する前にリフォームを行うことは、相続税対策としても有効な場合があります。
相続財産として現預金を持っている場合、それをリフォーム費用として使うことで、相続財産そのものを減らすことができます。
住宅の相続税評価額は、リフォームを行っても基本的に大きく変動しないため、リフォームに費やした分だけ課税対象となる財産を減らすことができ、結果として相続税の軽減につながる可能性があります。
特に、床面積を増やさずに内装や設備を更新するリフォームは、固定資産税評価額を上げずに済むため、相続税評価額への影響を抑えることができます。
また、相続直前に行われたリフォームであっても、その費用の一定割合(例えば70%)が相続財産として加算される場合でも、全体的な相続税額を抑える効果が期待できることもあります。
さらに、高齢者が安全で快適に暮らせるよう、バリアフリー化やヒートショック対策などのリフォームを行うことは、住居内での事故リスクを低減し、健康寿命を延ばすことにも繋がり、長期的な視点での相続対策とも言えるでしょう。

まとめ
相続した実家をリフォームすることは、住まいを快適にするだけでなく、資産価値の維持・向上や、場合によっては相続税対策にも繋がる有効な選択肢です。
リフォーム費用は、戸建てかマンションか、またどのような内容のリフォームを行うかによって大きく変動しますが、平均的な目安は存在します。
しかし、最も重要な注意点として、リフォームを行う前に必ず名義変更を行うことが挙げられます。
名義未変更のままリフォームを行うと、贈与税の問題や税制優遇が受けられないリスクが生じます。
一方で、介護保険制度や省エネリフォームに関する補助金、住宅取得等資金贈与の非課税特例などを活用することで、費用負担を軽減することが可能です。
相続した実家をどのように活用するか、計画的にリフォームを進めることをお勧めします。